アメリカ現地レポ:アメリカのチアリーダーにとっての4月の存在

24.05.03
インタビュー
大会/イベント/トライアウト

世界中のチアリーダーにとって復活祭(3月末)が終わると、だんだんとソワソワ期が始まります。
それは現在のランキングをより上のほうにしたいWorlds/ Summitシーズンであり、また【大学ダンス、チアチームトライアウト】や【NFLチアリーダー】のトライアウトが始まる未来づくりの時期であるからです。

まさに今、ICU世界選手権、Cheerleading and Dance Worlds,そしてSummitと大型の大会が3シリーズ続くチアウィークエンドなのですが、その盛況ぶりはここ20年で衰えるどころか、フィーバー熱は高まる一方です。日本代表団の活躍や、Worldsのレポートは各団体のインスタやウェブサイトをチェック

チアコネからはほんの2日間滞在、貴重な話を現地の方々かお話伺えたのでレポートします!

【大きく進化したICU世界選手権】


まずは日本の情報をお伝えします!
今年は日本からも多くの選手、チームを送りこんだICU世界選手権。
まだまだ一般的な知名度としては高くないのですが、各国のステイタスは抜群の大会です。
世界中のチアリーダーがここフロリダに注目する3日間です。

昨年から【オリンピックチャンネル】での世界での無料配信も始まったことから
多くのチアリーダーは熱戦にくぎ付け(そして寝不足)だったはずです。
第1回大会が行われた2009年から大きく変わったことは、やはり各国の参加人数とチーム数、取り組み方。
当初は翌日から行われるWorlds の選手が兼任だったこともあり、ほぼすべてのチームが(代表に重きを置くか、クラブチームに重きを置くかは別として)同じ顔ぶれでした。
現在は各国で代表団を組み始め、どの国も真剣に取り組み始めたのがわかります。
特にヨーロッパ、メキシコ、カナダ、オーストラリアは熱心!
以前は明らかにアメリカチームとの差が大きかったのですが最近ではあまり大差なくなってきました!
目覚ましい発展ですね。

ICU日本代表団は今年7つのメダルを獲得できました!

Cheerleading all girls elite: GOLD
Cheerleading Co-ed premier:   第7位(史上初の決勝進出)
Pom: SILVER
Jazz: BRONZE
Doubles Pom: GOLD
Double Hiphop: SILVER
junior pom: SILVER
youth pom: GOLD

日本スタイルはとてもクリーンなので世界中の選手から大人気!
毎日10時間練習してるの?とよく関係者に質問されているほどです。
テクニカル中心のルーティン構成は少々他の国とは異なるので、余計に際立ってそろって見えます。

スタイルが違う点ですが、まずチア発展中の国ではアメリカから講師を呼び寄せてしっかりとアメリカンスタイルを伝授され、その受け取った作品をしっかりと練習します。
日本はその点ジャパニーズスタイルというのが確立されているほどコツコツ型のルーティン。
特にダンスはスコアシートが技術寄りでもあるので、揃えることにたけている日本のチームは非常に有利で結果高得点になります。
ここもおそらく今後海外チームに研究され、狙われる部分かと思います。

【この業界におけるチームUSAの存在】


チームUSAとしてはほぼ国技のようなスポーツでもあるチアリーディング。
このお国芸のスポーツで金メダルだけは絶対に譲れません。
ですので、アメリカチームが出ている部門はより注目度が高く、本気度もアップ、そして見ている側の人数も多くかなり白熱します。
今年のチームUSAは圧巻の演技と迫力で見ている側も熱くなったと思います。
特にダンスは完全にアメリカ対日本の図式。
アメリカ側もかなり日本チームを研究していて、スポーツ自体がより高度化、緻密化、複雑化していった要因になっています。
こうなってくるとなかなか他国のチームが追い付かなくなってしまうのかもしれません。
戦う相手が明確になって、本気になったチームUSA、今後も目が馳せません。

【4月の意味】


さて話を少しだけ戻します。
多くのチアリーダーにとって4月は集大成であると同時にネクストステップを考える大事な時期。
昨今のアメリカのチアリーダー(ダンサーも)は、小さいころからWorldsやSummitなどのトップクラスの大会に出場しているため、大学になってまでオールスターを継続せず、進学した大学のチアリーダー・ダンサーになるケースが非常に多いです。大学のチアはそのステイタスもレベルもかなり高く、日本同様、卒業という自然に訪れるゴールに向かってまっすぐに活動します。

そんな中、今アメリカで大問題になっているのが移籍問題
進学するからその先でチアを続ける、または参加する側がよりきらきらしたステージで活動したいと思うのは自然の摂理でもありますが,1つのチアジムが翌シーズンの地固めのため、WorldsやSummitという会場を使って選手やコーチのスカウトや引き抜きを行っているとのことで、多くのジムオーナーが頭を抱えています。

移籍で出て行かれてしまう側のジムが抱える問題として、チームの安定的な育成や固定メンバーの確保に課題が発生します。 トップチームの顔ぶれがいつも違ったり、見たことのある顔が他のチームで活躍している姿にファンは混乱するようで、安定したファンの獲得につながりません(つまりはチームグッズの売り上げなどにかかわる)。

またチーム側としても長い間共に頑張ってきたメンバーには奨学金や推薦など
色々とサービスしてあげたい反面、あなた誰?というような新人メンバーが成績を納めたからと
同じ条件を提示してくるようで、さすがのおおらかアメリカ人も、それなりに気が滅入る時期のようです。

急に伸びてきたチームは根こそぎ他チームからトップメンバーをスカウトして勝ち残るはものの、
結局はその後の継続年数はほぼ2年とのことで、やはりジムオーナーとしては取られる側も取る側も、ビジョンや使命をクリアにするのが大切であることを改めて感じるとの意見がとても印象的でした。

今年も盛り上がった23-24年シーズンも間もなく終わり。
皆さんのチームはどんな思い出がありますか?
来シーズンもますます活動活発にがんばっていきましょう!

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