• 【強い思いを次世代に。】 チアリーディング日本代表オールガールズ金メダルの裏側。 

【強い思いを次世代に。】 チアリーディング日本代表オールガールズ金メダルの裏側。 

24.07.08
インタビュー

チアコネインタビュー第6弾! 今回のゲストは2023-24年度日本スポーツチア&ダンス連盟により選抜されたチアリーディング日本代表オールガールズチームのヘッドコーチを務められた飯塚真衣子さんにお話を伺いました。日本代表のオールガールズといえば、今年のICU世界チアリーディング選手権大会で金メダルを受賞したのは記憶に新しいかと思います。 さて、今回のテーマは強い思いを次世代に。どのようなお話を伺えるのでしょう。楽しみですね。

穏やかな雰囲気の飯塚さん。
チアコネ
チアコネ

こんにちは! まいこさん、 とお呼びしてよろしいでしょうか。 本日はお話伺うことができて大変光栄です。 簡単でよいので自己紹介とチアリーディングとの出会いを教えていただけますか?

こんにちは! もちろん大丈夫です。今日はよろしくお願いします!  今年のオールガールズチームのヘッドコーチを努めさせていただきました飯塚です。 普段はクラブチーム、芝浦チアリーディングクラブのコーチとして活動をしています。 私とチアの出会いは、高校の部活です。 もともとバトンの先生になりたくてバトン部に入ったのですが、結果チアリーディングと出会うことになりました。

飯塚さん
飯塚さん

チアコネ
チアコネ

わかります、わかります。そういう方、多いですよね。

はい、その後バトン部の活動がチアリーディングに移行しました。 高校では全国3位までいき、燃え尽き症候群というか、チアからの引退を考えていました。
そんな中、桜美林短期大学の入学式で大学の先輩にスカウトされて、結局そのまま短大でもチアを続けることにしました。 卒業後は日本チアリーディング協会で、より専門的にコーチや審査員として日本のチアリーディング普及に携わっていましたが、留学を機に今度こそチア人生引退かな、と考えていました。

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

そうなのですか! 何度もチアからの引退を考えたんですね! どのようなきっかけで復活されたのですか?

今所属のクラブチームの代表が大学のチアリーディング部の先輩で、一緒にチームを強くしようと熱心に誘っていただき気づいたら今に至ってます 笑

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

それは代表の方お目が高かったですね! さてさて、飯塚さんが感じるチアの魅力は何でしょう? 

お話し盛り上がりました!

そうですね、チアリーディングは基本的に単純な動きからできているので、ある意味誰にでも挑戦しやすいスポーツだと思います。 スタンツ、タンブリング、ダンスなど色々な要素があるので、誰もがパーフェクトでなくても輝けるパートが見つけられたり、苦手なところがあってもチーム内でカバーし合う事ができたり、協力しながら演技を作り上げる過程で、チームワークの大切さを体現できるとても魅力のあるスポーツだと思います。

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

本当に色々な魅力があるスポーツですよね。 まいこさんの長いチア歴の中でも、今回はきっと今までの経験の中でも特に大きな挑戦だったかと思います。 最も大きな挑戦は何でしたか?

今までも様々な挑戦がありましたが、今回のチアジャパンのフライハイプロジェクトもチャレンジングでした。 色々なレベル、背景、価値観を持った選手を、どのようにまとめて代表チームとして成功させるのか、これは大きな挑戦でした。 
今回のメンバーは高校生から社会人まで、チアリーダー歴も様々で、優勝を目指せるレベルで、かつ、みんなにとってベストな演技の標準をどこに定めるのかは悩みましたね。

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

レベルが色々だと大変ですよね。。。 どのように乗り越えたのですか?

(写真提供:日本スポーツチア&ダンス連盟)

そうですね、技術レベルだけでなく限られた練習の中で本番に臨まなくてはいけなかったので、目標に向かってモチベーションを維持しつつ、チームとして上達させ続けていくことも重要でした。去年3位という結果から、今回は絶対に優勝する!という目標がありました。その大きな目標に向かって、まずは本番までの大まかな小目標、マイルストーンを自分の中で設定しました。大きな目標ばかり見ていると息切れしてしまうので。。。 まずは身近なマイルストーンに向かって今何ができるか?を常に考えてベストを尽くすといった作業の繰り返しでした。

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

練習はどのようなことをしていたのですか? 毎日練習はできなかったですよね?

はい。チーム練習は今年に入ってから毎週日曜日だけでした。時間が限られていたので、どうしたら日本らしくクリーンで魅せられる演技ができるかを追求し、合わせる事に重点を置いてチーム練習を行っていました。 また、それだけでは練習が足りない為、最低週一回は自主練をして動画を送ってもらう様にしていました。 自主練もできるだけこのプロジェクトに関わっているコーチがいる場所を選んでもらったり、送ってもらった動画にはポイントをコメントして返したり等、出来る限り各自の基礎力強化のサポートも心がけていました。

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

そうなのですね。 多くの動画をチェックされるのも大変でしたね。

そうですね、みんな同じ日に自主練をしていたりしたので、一度にたくさんの動画が送られてきたりという事はありましたね。 ただ、動画のコメントはできる限り、現時点ですぐ直せること、次につなげる為に重要なポイントを絞って伝える様に心がけていました。もちろん動画だと気になる点はたくさん出てきますし、思わず沢山コメントしてしまう事もありましたが (笑)、でもそんなに沢山の事を一度に言われてもわからなくなってしまいますよね。 重要なポイントに集中してもらいたいので、できる限り厳選するようにしていました。少しずつ改善することで前進していければな・・・と願いながら書いてましたね。

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

そうですよね。 あれこれ言うと確かにポイントを覚えてきてもらえないというのはすごくよくわかります。チームとしてモチベーションを維持したり、プレッシャー対策について、どのように対処していますか?

代表選手は様々なチームから来ていたので、どこにモチベーションを見出してるのかや、代表というプレッシャーに対する経験値が異なっていて、いつも新しい発見があったので、常にコーチ同士でチームの現状や課題について話をしていましたね。 チームの目線を合わせる為にも、選手達に向けて、練習に対する考え方や何故それが必要なのか等、チームとしての方向性や考え方について定期的に話をする様にしていました。また選手だけでのミーティングを持ってもらう事により相互理解を深めてもらい、必要に応じオブザーバーといった形でそのミーティングに参加したりもしていました。
とはいえ、最終的にブルーのマット上で演技をするのは選手、コーチはそこでベストを尽くせる様に導くことしかできないので、主体性を持ってもらう事を意識していました。

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

そんな中でも今回は目標達成されましたね! 金メダルを獲得した時の気持ちはいかがでしたか?

(写真提供:日本スポーツチア&ダンス連盟)

とにかくほっとしました。 エリートレベルで絶対勝てる!と信じ、ここ数年代表派遣に関わってきたのですが、いつも惜しいところで悔しい思いをしてきたので、やっとという感じでした。 本当はノーミスの演技を目指していて、実際練習でもノーミスが出ていたので、そこを本番で出せなかったのは少し残念ではありました。
ですが、これまでの選手たちの努力、成長を振り返り、本当に良く頑張ってくれたなと、表彰台の上のみんなを見た時に心から誇らしかったです。

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

そうですよね。 私も実はライブ配信みていて、ドキドキしていました。 さて、そんなICU世界選手権でしたが、今回はチアコネスポンサーでもあるパワーミュージックチアさんからオリジナル楽曲を作成してもらいましたが、最初に聞いた時の感想、選手たちの反応を教えていただけますか?

最初に聞いた時もさることながら、とにかくオリジナルの曲というのは本当に嬉しかったです。選手たちも心待ちにしていたので、聴いた瞬間かなりテンションが上がっていました。曲は本番当日だけでなく、その練習過程も含め全ての思い出に繋がる欠かせないものだと感じています。今後もこのオリジナル曲を聞く度みんな、練習での思いや、本番の高揚した気持ち等、様々な場面を思い出すのではないかと思います。

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

選手、スキル、メンタル、曲、すべてのバランスがよく揃った結果が、今回の結果につながったのですね。
飯塚さんは代表のコーチを始めたことで何かご自身の視野や感覚が変わったと感じたことはありますか? 

今回に限ったことではありませんが、やはりチアリーディング界の裾野をもっと広げなくてはいけないなと改めて感じました。様々な状況、条件、背景から今回の様な代表チームにチャレンジできるチアリーダーはまだまだ限られていると思います。チアリーダーや競技を支持してくださる人々が増えることにより、そういったハードルが少しずつ低くなっていけば、日本のチアリーディングのレベルが今以上に上がっていくのではないでしょうか。
さらに昔とは違い、今は気軽にSNS等から海外の最新技術を見ることができたり、海外コーチが来日した際のワークショップで直接教えてもらえたりと、様々な機会が溢れています。ぜひそういった機会をフル活用していって欲しいですね。

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

そういった機会、本当に大事です。 ぜひ情報提供お願いしますね! こちらでも何かあったらすぐにご案内いたしますね!
それではまいこさん、インタビューも終わりに差し掛かってきましたが、今後の目標や夢、いつも皆さんに伺っていますが、挑戦したいことなどございますか?

そうですね、コーチとしては引き続き、世界も含め、どこに行っても通用するチアリーダーを育てていきたいです。技術面だけでなく、精神面でもチアリーディングを通して様々な事を伝えていけたら良いなと考えています。
また、チアリーディングを広げるといった意味では、やはり良いコーチの育成に携わっていきたいと思っています。技術を正しく理解して伝える事や、演技としてまとめる事、またチームやメンバーを精神面からも支えてまとめることが出来るコーチのニーズというのは、まだまだ沢山あると聞いています。私自身、何年やってもパーフェクトなコーチにはなれず、日々勉強中ですが 笑 
技術がどんどん進化する中、アンテナを張っておかないといけないですし、人との関わり合いなので色々と大変なこともありますが、次から次へと新しい発見があり飽きている暇がないんです。それがコーチ業の面白みなのかなと感じています。コーチとして選手に教えているつもりが、教わってる事も多く、うまく行った時の達成感はチアリーダーだった頃の倍に感じる事も多くあって、そんなコーチ業の楽しさも次の世代に伝えていければなと思っています。

飯塚さん
飯塚さん
(写真提供:日本スポーツチア&ダンス連盟)
チアコネ
チアコネ

その達成感ものすごく共感します!
さて最後の質問です。
まいこさんがつながっていたい人や団体、または今後つながっていきたい人や団体はありますか?

これまで同様、まずは今あるつながりを引き続き大切にしていきたいと思います。チアリーディング界はコーチ同士仲が良いですし、また海外のチアリーディングに携わる人々も本当に良い方が多いので、学びも多いですし大切にしていきたいですね。
今後新たにと考えると、先ほども触れましたがコーチ育成につながる様な何かです。所属しているクラブチーム内では少しずつコーチ育成は始めていますが、そういったプロジェクトなどに関わっていきたいなと思っています。
チアリーディングは本当に良いスポーツだと思います。人とのコミュニケーション無しでは成りたちませんし、元々応援が発祥なのでお互いを応援し合う前向きな姿勢がベースとなっています。人と人のつながりが希薄になってきている今、沢山の人にこの良さを体験して欲しいなと願っています。

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

そうですよね、チアはグッドスポーツ、とてもいい表現です。
もっと若い人たち、どんどんチャレンジしてほしいですよね。 多少失敗しても私たち世代がフォローできますしね。 今日はお忙しい中、ほんとうにありがとうございました。

こちらこそありがとうございました! あまりこういった機会で話したりするのが苦手なので、うまくお伝えできてればよいのですが。。。

飯塚さん
飯塚さん
チアコネ
チアコネ

しっかりまとめます! 

+++++++++++++++++++++

今回のICU大会にて、オールガールズ編成はICUチアリーディング世界選手権で金メダルを獲得、 日本のチアのマインドセットを変えられたかと思います。 今回のチーム委託ではなくセレクションで行ったチームをまとめる力は、企業や団体のチームビルディングにも大きく寄与すると感じました。

飯塚さん、普段のお休みは愛犬とリラックスするのが大好き、とのことですが、反面週1回の休みは必ずトレーニングやピラティスなどを行っているとのこと。 アクティブで、ポジティブで、でもとても強い思いをお持ちの飯塚さんの静かな魅力にとても引き付けられました!  

ありがとうございました!

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